戦争

ブッシュが来た

 京都にブッシュが来ている。おとといから街には警官があふれ、昨日は、ほとんど滋賀県境にある俺んちの上空まで、米軍ヘリがブンブン飛び回っていた。昨日と今日、ブッシュ来日&日米首脳会談に抗議するデモに行ってきた。

 最近、自分が当たり前に腹を立ててる事が世間ではそうでもないのだとか、怒りや反対の意思表示をする事が想像以上に世間では敬遠されるのだと実感することが、何かと多くなった。この国でメジャーになり始めた“現実主義”とやらを前に、けっこう弱気になっていた。今回のデモの事も前から知っていたが「しょぼいデモやったら、かえってつらいよなぁ」と実は直前まで、行くかどうか迷っていた。

 が、二日連続デモに行って、体はくたびれたが気分は元気になった。打楽器バシバシ鳴らす奴ら、ラジカセにトラメガを直結してハードコアをガンガン流すやつら…、こういう弾けた空気の中で意思表示しながら路上を踊り歩く。これは、やってみるとかなり楽しいのだ。
 手書きのプラカード持った外国人がたくさんいたので歩きながらしゃべったら、京都や大阪に住んでるアメリカ人や旅行者だった。「ブッシュが大統領してるのが恥ずかしくてたまらないの」という若い女の子や、めちゃくちゃ嬉しそうに「ええかんじや。ええ感じのデモや。グレート!」と話しかけてくる小太りのおっさんがいたり、「京都観光に来たらデモをやってるから、嬉しくて参加した」というシカゴのおねえちゃんもいた。

 二日間、俺はカスタネットをカチャカチャ叩きながら歩いたが、思わぬ再会やびっくり仰天な出会いもあった。これもブッ様のおかげか。お祭り的にデモで騒いだからといって、ブッシュや小泉が戦争を止めるワケじゃないし、毎日まわりで人を殺され続けている(マスコミは完全黙殺を決め込み、多くの人は知ること自体を嫌うが紛れもない事実!)イラクの人たちから見れば、こんなデモなど甘っちょろいだろうと思う。
 しかし、自分の街にブッシュと小泉が来てるのに、家でじっとしてるわけにはいかん。「おまえらの戦争を拒否する」という意思表示を怠ってはいかんやろ…ということで!

 追記その1:今回のデモもマスコミは完全無視か…。少なくとも俺のとってる毎日新聞では「ブッ様が金閣寺の住職と平和談義した」とか「ローラ夫人が町屋で習字にチャレンジして喜んだ」とか載せてるが、ブッシュ不歓迎で何百人もデモした事実は黙殺。新聞社やTV局が取材に来てたのを見たけど、上層部で握りつぶされたんかな?

 追記その2:明日11月17日(木)、大阪は十三のテハンノで、ヒデヨヴィッチ・ソロでライブします。詳しくはジェロニモレーベルのサイトのライブ情報を。

絶望 アンド ちょっとだけ希望

 反戦ミュージック2005は大成功(一日目は豪雨にやられたがそれでもなお!)に終わった。ビッグネームも有名どころも呼ばず(呼べんけど)俺ら周辺のイキのいいバンドだけで、会場設営から何から何まで思い切り手作りで。そして大して赤字も出ず。詳しいレポートする余力は今ないが、ほんとよかった。濃い仲間がまた増えた。昨日は撤収作業も無事終了。選挙結果には…、ただただ、暗たんとして笑うしかなかったが!!

 この国が戦争に足突っ込んでるという事実、これがここまで完璧に無視されて、しかもそれがまんまと通じるとは! コイズミのヤクザ芝居が、ここまで効くとは…。加速度的に荒れていくこの国からは、国際感覚ちゅう概念が消えたのか??
 政府も世間も関係なしで俺はやりたいようにやったらあ!と言いたいが、実際問題として、これから生きづらくなっていくなあ。憲法9条も真剣にヤバイな。ますます、いらんエネルギー使わんといかんのか。疲れるし、もう嫌だな。もう、呑気にロックンロールとかチョチェックとか山遊びとか語学とか秘密の遊びだけやってるワケにはいかんのか。やるけど。

 絶望よこんにちわ。

 まあしかし、どんな独裁国家であれ戦争遂行中の荒れ果てた社会であれ、人は生きていくと言えば生きていくし生活は続くと言えば続く。なぜか、セルビアで遊んだり歌ったり飲んだ向こうの友達の顔が浮かぶ。消耗しても生きて行こうオーイェー。ますます高度にR&Rと偽チョチェックしながら、だ。

 7月から途切れなく高密度なライブが続いて、ほんらい苦手な夏が、今年は異常に楽しかった。そんなお祭り騒ぎ的な日々も、反戦ミュージックである種のピークを迎え、当分のあいだパタッとライブ予定がない。別に、自民圧勝に絶望したせいじゃないで!
 ここ数ヶ月の本番ラッシュを経て、共演したい人らはいっぱいできたんで、ライブ計画も落ち着いて考えようと思う。世の中お先真っ暗だが、バンド的には希望にあふれた9/11明けだ。

 ライブレポートを自分で書くことに虚しさを感じる今日このごろだが、反戦ミュージック2005は、終わってなお、もっともっと知られるべきイヴェントだと思う。来年もやるのかどうか、主催者の吉田一平含めまだそんな話をやる余裕はないけど、来れなかった人、来るのに二の足を踏んだ人にも、あの空気を知って欲しくてたまらない。
 落ち着いたら何らかの形でレポートします。というか、これ読んでる人で、あの現場にいた人、コメントでもメールでもいいんで送ってください。小さくてもショボくてもええから、ああいう場が日本中に増殖しまくったら、まだ何とかなるような気がする。こっちに来たらおもろいよ!と、しつこくうるさく俺は言おう。

ビッグイヴェント直前

 先週は、雲州堂で“ジプシーバザール”というイヴェントに出てきた。ジプシー系音楽に真面目に取り組むバンドの中で、ひとり偽ジプシーが胡散臭く浮いていたが、豪華セッションもあったりして愉快な夜だった。最近のライブはゲストダンサーにも恵まれて、なかなか華やか! 毎回確実に世界が拡がってる感じがある。偽チョチェックの布教も着々と進行中。  

 昨日は反戦ミュージックのメインステージを建ててきた。大工仕事にはまったく無能な俺とか吉田一平とかへなちょこ学生が、職人S君の指揮のもと&台風一過のええ風が吹く中、ひと仕事してきたよ。台風と言えば、ニューオーリンズもどえらい事になってる。戦争なんかやっとる場合ちゃう! こればかりは、百万回言うても足らん。

 反戦ミュージックが選挙にぶつかった(というより、いきなりワケのわからん選挙がぶつかってきた)んで、生まれて初めて期日前投票にも行ってきた。神奈川11区なら、迷うことなく天木直人のオッサン(イラク戦争反対をコイズミに直訴して外務省を追われた、元・バリバリのエリート外交官。著書とか相当おもしろい)に投じたい。けど哀しいかな俺の選挙区には、入れたい候補など一人もおらん。今回は棄権するわけにはいかんと思うので、ある種の屈辱をかみしめながら、なんの魅力もない男に投票しするしかなかった。

 あぁ。やっぱり基本的に、政治などくだらんと思う。未来には極めて悲観的だが、ロックンロールと偽チョチェックやってるもんで、人生には楽観的だ。

 今日も反戦ミュージックの仕込みで西部講堂に行く。終わった後のライブ計画はほとんど決まってないが、まぁ、なんとかなるだろう。ライブ見たい人は、呼んでください。宣伝から内容から客集めの方法からいっしょに考えましょう。どっちのバンドも好調なんで。一緒に動く人も常時求めてます。オーイェ。

 反戦ミュージック、本番は10(土)と11(日)の2デイズ。俺は両日出演します。それと、会場広場になんちゃってカフェを出す予定なのでアラブコーヒーとかトルコのエルマ・チャイ(リンゴ茶)とか、山で採ってきたサルナシを漬け込んだ秘蔵の果実酒とか売ってます。6月にココルームでやって好評だった、偽写真展「おれがこの目でてきとうに見た世界」のミニ版も出展します。
 ↑以上は俺の個人的な宣伝ですが、この二日間集まるバンド&歌手は、知名度は低くてクオリティーは高い。何度も言ってるが、全国・全世界からバックパック背負って観に来る価値あり!

 西部講堂前広場で会おう!